タバコを吸うアッシュ。

タバコを吸うアッシュ。BL風絵。
BLの絵ってすっごいなよなよしてるか、逆になんでみんな細マッチョ?的なものが多いよね?(←偏見である。ごめんなさいごめんなさい)

アッシュはタバコを吸うイメージないですが、これにはちょっとしたドラマが。
ちょっとハードボイルドというか、ソフトボイルドな話を考えた。

何度も英二を連れて引っ越すアッシュの元に、昔馴染みから連絡が入るんです。
それはアッシュが、ゴルんところで、男娼やってたころの仲間で。
魚料理屋に初めて連れてこられて、心身ともに傷ついてたアッシュをかまってくれた優しい子だったんです。
アッシュはその子から男娼として生きていく術というか、諦め?的な何かを学んだんです。
その子はアッシュに負けず劣らず綺麗な子で、二人で店の稼ぎ頭でした。
機会があれば抵抗するアッシュと違って、その子は大人しく客と過ごして、客に金銭以外の何かをねだるのが上手な子でした。チップがわりにもらったキャンディやチョコレートを小さな缶の中に入れておくのを楽しみにしていました。たくさん手に入れてその缶に入らなかった時はアッシュにも分けてくれました。ただ、アッシュはタバコだけは断りました。なぜだかその子は、キャンディをもらうより、タバコをもらう方が好きだったのです。缶の中の半分はいつもタバコでいっぱいでした。
ある日アッシュが、その子に魚料理店から逃げようと持ちかけます。こんなところクソ喰らえだと。
初めは逡巡したその子も、アッシュの計画を聞いて、じゃぁ一緒に逃げようと、承諾しました。
そして決行の日、アッシュの計画外のハプニングが起こり、逃走中に二人はバラバラになってしまいました。アッシュだけが魚料理屋に連れ戻されました。その子とはそれきり音信不通でした。

そしてその子から連絡が入り、アッシュは警戒しながらも呼ばれた先に出向きました。

呼ばれた先にその子はいませんでした。いたのは、その子と同居していた、アッシュと同い年くらいの青年でした。あの時、逃げた後も、稼ぐ術のないその子は結局、体を売って生活していたのです。とうとう体を壊して先日亡くなってしまったと、見知らぬ青年に告げられました。
そして、かつてあの子が持っていた缶を差し出されました。アッシュの記憶の中の缶より錆びていて、凹んでいて、ボロボロになっていました。
アッシュが中を開けてみると、そこには一本のタバコと、沢山の紙幣が。
よく見るとタバコの側面には小さい文字で「for you」と書かれていました。

アッシュは気づいていました。
あの日二人で逃げた日、起こったハプニングは偶然じゃなかったのだと。
アッシュは、あの子にハメられて、あの子は一人で逃げおおせたのだと。

アッシュは缶から、タバコを取り出しました。
くるりとタバコを回すと反対側に「good luck」の文字が。
アッシュは黙って缶を閉じ、タバコだけをポケットに入れ、その場所を去りました。

その夜、月光の入る窓辺でひとりビールを飲み終えたアッシュは、一本のタバコに火をつけたのでした。

小説にしても需要なさそうだよねー。でもソフトボイルドって好き。